燃料調達の仕組み・課題

バイオマス燃料とは

 バイオマス発電に使用するバイオマス燃料には、木質系と植物系があります。バイオマスとは、動植物などから生まれた生物資源の総称で、これらの資源からつくる燃料をバイオマス燃料と呼びます。木質系は、チップ、ペレットなどの固体燃料が主であり、植物系には、PKS(パーム椰子殻)のような固体燃料とバイオエタノールやBDF(バイオディーゼル燃料)などの液体燃料、そして気体燃料と様々なものがあります。

 バイオマス燃料は、燃焼の際には二酸化炭素を排出するものの、原料作物の成長過程において二酸化炭素を吸収しているために、その排出量はゼロとカウントされます(カーボンニュートラル)。そのため、バイオマス発電は再生可能エネルギーの一つとされているのです。

燃料の調達について

 バイオマス発電は燃料を必要とする火力発電の一種であり、そこが太陽光や風力、水力等をエネルギー源とする自然エネルギーと大きく異なるところです。

 燃料には国産材と輸入材がありますが、国産材は、日本の国土面積の67%を占める森林に豊富にあるものの林業が低調となった現在、伐採・搬出の拡大が課題です。森林資源は再生可能な資源であり、持続可能な社会形成、循環型社会形成には必要不可欠です。今後、国産バイオマス燃料材の供給が急速に増えると予想されるところから、地域資源の活用による地域への経済効果が期待されています。一方、チップやPKSなどの輸入材は、調達ソースが多様であり、エネルギーセキュリティでの貢献にもつながります。

バイオマス燃料調達の課題

 FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)の効果もあり木材需要が増え、日本国内のバイオマス燃料供給面において品質確保のためトレーサビリティの必要性が高まっています。国内的な視点でみれば、伐期を迎えた森林をいかに有効活用するかを検討する必要がある一方、大規模なバイオマス発電用の木材需要増加による森林減少の危険性があり、世界的な視点でみても、林産物需要量が世界的に増加している一方で森林面積が減少していることにより、需要に見合った持続可能な森林経営を行っていく必要があります。

 木質バイオマス発電が安定的で持続可能な運転を行うためには、地域の実情に即した燃料となる材の供給体制を確立し、適切な規模で取組むことが重要です。素材生産量が少なく未利用木材のFIT認定量が大きい地域が多数存在することから、それらの地域における材の供給不足が懸念されます。

 エネルギーミックス(長期エネルギー需給見通し、平成27年7月経済産業省)では再生可能エネルギー導入とバイオマス発電拡大が目標に掲げられ、バイオマス発電所の稼働と計画が急速に進められています。大型発電所の燃料を賄うには輸入材が必要とされています。

 一方、小規模な木質バイオマス利用は熱電併給や熱供給事業を行うと経済性に見合うといわれており、今後のバイオマス発電の事業モデルは、輸入チップ・PKS等を燃料とした大規模(数万kW)発電と、未利用材を燃料とした小規模熱電併給の二つの方向に進んでいくと思われます。