5月27日「バイオマス発電と地域貢献 ~再生可能エネルギーの主力電源化時代に向けて~」講演会を開催しました。

2019/06/05

一般社団法人バイオマス発電事業者協会は、5月27日(月)、定期講演会「バイオマス発電と地域貢献 ~再生可能エネルギーの主力電源化時代に向けて~」を開催しました。
会場の東京都港区の機械振興会館B2Fホールに、会員企業をはじめ発電事業者、燃料メーカー、商社など約120名の参加者が集まりました。


5月27日講演会写真


協会の山本毅嗣代表理事のご挨拶に続き、河野 義博 参議院議員、石井 由己雄 山梨県大月市長、東京大学大学院農学生命科学研究科の仁多見 俊夫准教授の三氏より、「バイオマス発電と地域貢献、再生可能エネルギーの主力電源化時代に向けて」をテーマに講演が行われました。


1.参議院議員 河野 義博 様
 「バイオマス発電への期待」
5月27日講演会写真
自身は議員になる前、丸紅で再生可能エネルギーの仕事をしていたというバックグラウンドがあり、今は公明党で総合エネルギー本部の事務局長という立場で、再エネ関係の全ての案件を見る仕事をしている。
今、世界の潮流は再生可能エネルギーとなっており、RE100に参加する企業は増加し、欧州では当初より高い目標を再エネ比率が30%を越える段階に入って来ているが、日本はまだまだ目標値が低い。野心的な目標を持ってこそ産業を誘引することができるのではないかと考えている。また、さまざまな省庁の政策に関わりがあるバイオマス発電を促進するためには省庁の縦割りを排除が第一であるため、各省庁の横串となる会議体を作り議論を進めることも必要である。
昨今FIT改正の議論がされているが、自身は価格の安定こそが再エネ増加のための最大の支援であると考えているので、まじめに取り組む事業者が健全に自立してゆくための制度になるように努力したい。そのために、最近要請があったバイオマスの新規燃料の件も応援するし、系統連携の改善にも力を尽くしたい。
他方、国内材の供給元でありバイオマス発電に不可欠な林業が安定して成長して行くために大規模かつ長期的な林業運営ができるような法整備を行い、今後もバイオマス発電を応援して行くつもりである。


2.山梨県大月市長 石井 由己雄 様
 「バイオマス発電への期待」
5月27日講演会写真
自身は大月バイオマス発電所がある笹子町出身で建設業を経て、平成29年より市長を務める中でバイオマス発電所の誘致を行った。
大月市は東京から75km、県庁所在地の甲府市から35kmという場所に位置し、市の90%は森林で占められている。富士山の玄関口であり、豊かな自然を持つ観光の街としても有名だが、笑点の三遊亭小遊三師匠の出身地ということでも有名である。
森林資源が豊富な大月市は、相模川の上流域に位置することもあり、下流域となる神奈川県にきれいな空気と水を送るという役目を担っていると考えている。そのため自然環境の保護、自然環境に優しいエネルギーの創出に力を入れており、葛野川揚水式発電所において120万kWの水力発電を行っていたが、さらに森林資源の有効活用という目的で2万㎡の土地に出力14,500kWという大月バイオマス発電所を誘致した。大月バイオマス発電所は剪定枝が約80%、木質チップ約20%という燃料を全て天然由来で調達している上、焼却灰は建設資材や農業肥料に利用するという完全循環型の事業となっている。大月市では新たな森林経営管理制度や森林環境税の制度を利用し、自治体として林業者や市民からの森林整備の促進、野生動物との共生、間伐事業の促進、CO2削減、雇用の創出、自然保護による観光の創出等の期待に応えたいと考えている。
豊かな自然というのは大月市の財産であり、これらを後世に引き継いで行く意味でバイオマス発電には期待している。
市長としてこのような自然豊かな大月市により多くの方に足を運んでいただきたいと考えている。


3.東京大学大学院農学生命科学研究科 准教授 仁多見 俊夫 様
 「スマート・フォレストリーとバイオマス発電の相互発展」
5月27日講演会写真
みなさんはバイオマス発電のために十分な燃料を調達しなくてはならないが、それらは私は日本の林業から量的にもコスト的にも満足な条件で供給できると考えている。
林業をビジネスとして行ってゆくためには、継続的な山づくりが必要であり、量、場所、時間という情報管理が不可欠である。また、それらの情報を取りまとめる事業体がサプライチェーン、バリューチェーンのマネジメントをすること必要となる。
技術的には作業道だけでなく架線を利用した方法や、自動化した機材を利用する方法もあり、これらを大きなスケールで継続的かつ計画的に行うことにより、コストも安く集材することが可能である。また、既存の林道の両脇10mずつのみを刈り、取りヤナギやポプラに植え替え7年程度の周期で収穫して行く路側エネルギー林業という考え方もある。
量的にも日本においては年間1億立米という十分な針葉樹林が育っており、さらにそれと同等量あると思われる広葉樹林があり、広葉樹の利用を積極的に考えることも重要である。
このような技術を利用することによって、林業のビジネス化が可能となる時代はすぐそこまで来ていると言える。
私自身、林業は儲かる仕事だという信念をもっており、その信念からみなさんのバイオマス発電事業の発展、林業による地域振興を心から願っている。


以上3名の方々のご講演の後、会場を移して懇親会が行われ、講演会、懇親会とも盛況裡に終了いたしました。

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