サステナビリティ

サステナビリティへの取り組み

1. バイオマスの持続可能性

●土地・森林の持続可能性
木質系バイオマスや、これまで現地で廃棄されていたようなPKS等の農作物残渣系のバイオマスは、調達地となる森林や農園における持続可能性を確保していくことが重要です。例えば、原生林や高い生物多様性保護価値を有する地域、また高い炭素蓄積が維持される地域などからの調達や、これらの土地を改変することは避けなければなりません。

また、環境面のみならず、ガバナンス、社会・労働の観点から、調達エリアで適用される法令・規則を遵守していることや、人権の尊重と労働者の権利を守ることが求められます。

カーボンニュートラル循環図
●ライフサイクルGHG
バイオマス燃料は、植物が成長する過程で二酸化炭素を吸収するカーボンニュートラルな性質を持ちます。

◆バイオマス発電とは
バイオマス発電所は、植物資源を活かした発電を行っています。植物は、光合成によって大気中のCO2を吸収します。間伐材等の森林整備の過程で発生する木材や、資源の加工工程から発生する副産物等をバイオマス発電で有効活用し、CO2吸収源としてのバイオマス資源の健全なサイクルを回していくことで、持続可能なカーボンニュートラルに寄与することになります。

 

ただし、原料の回収、加工、輸送時にはエネルギーを要するため、燃料のライフサイクル全体を通じた温室効果ガス(ライフサイクルGHG)排出量を正しく評価することが必要です。
当協会において主要な輸入燃料を用いたバイオマス発電のライフサイクルGHGを試算した結果、石炭火力発電に比べて70%以上のGHG削減効果が見込まれることが明らかとなりました(注1)。今後、加工~輸送~発電におけるサプライチェーン全体でのGHG削減の取組みを進めることで、2050年カーボンニュートラルへの一層の貢献を目指していきます。

バイオマス発電のライフサイクルGHG
出所:再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(第30回)
   バイオマス発電事業者協会 発表資料
(注1:BPAが設定した前提条件に基づき試算した結果であり、実際の個別発電所の実態とは結果が異なる可能性があります)
 

2. 持続可能性の確認・証明

● FIT制度における持続可能性の確認・証明方法
日本のFIT制度における持続可能性の証明は、国が定めた各種ガイドラインに従うこととされています。
FIT認定バイオマス燃料のガイドラインと持続可能性の証明方法
● サプライチェーン・トレーサビリティ
上述の手段により証明されたバイオマス燃料が、サプライチェーンにおいてそれら以外のものと混合することなく分別管理されていることが求められます。発電事業者は、燃料供給者から発行された証明書により、ただしく分別管理がなされているか確認する必要があります。

● PKSの認証制度
PKS(農作物残渣)の持続可能性は、2019年に行われたバイオマス持続可能性ワーキンググループにおいて、上図のように第三者認証により証明することが決められました。
このような第三者認証は、持続可能性の確保に関する自主的取組み行うことを前提条件とした上で、2023年3月末までに取得することとされています(2021年7月現在)。

● 自主的取組み
当協会では、該当する会員企業の円滑な認証取得を支援するため、会員企業の自主的取組み状況のモニタリングと啓蒙、会員企業に対する先行取得企業の事例紹介、国や認証機関との認証運用上の課題解決のための協議、燃料サプライヤへの認証取得に向けた理解促進といった活動を行っております。

【燃料発生地点に関する情報公開の状況】

 ※協会会員のPKSを燃料として使用中、使用予定の発電所を調査(2021年7月現在)
燃料の情報公開状況

3. 2050年カーボンニュートラルに向けた取組み

● GHG削減の取組み方針
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、当協会ではバイオマス発電に関わるサプライチェーン全体を通じたGHG削減に取り組んでまいります。
排出削減の取組方針
出所:バイオマス持続可能性ワーキンググループ(第9回)
   バイオマス発電事業者協会 発表資料


● サプライチェーンを通じた取組みの例
当協会会員企業の取組みをご紹介します。

【燃料加工工程】
米国木質ペレットサプライヤー・Enviva社 “Climate Action Plan”
2030年までに操業からの排出ネット・ゼロを達成するとの目標を示しました
 https://www.envivabiomass.com/enviva-targets-net-zero-operations-by-2030/

【輸送工程】
海運会社・商船三井 「商船三井グループ環境ビジョン2.1」
2050年にネットゼロ・エミッション達成を目指し、サスティナブルな社会を実現するための道標を策定しました
 https://www.mol.co.jp/pr/2021/21052.html

【災害材の受け入れ】
地域で自然災害が発生した場合、 通常使用している燃料に加えて、災害被災木 (流木・倒木)や 木質系災害廃棄物を燃料として可能な限り資源として利用しています。
株式会社グリーン発電大分 の例
災害被災木の再生利用

● 森林のCO2吸収能力向上のためのバイオマス利用
国内の森林資源は毎年増加しているにも関わらず、伐期を迎えた森林が半分を越えており、CO2吸収量はここ20年で30%以上減少しているといわれています。森林のCO2吸収量を高めるためには、木を植える、育てる、切る、使う、のサイクルを回していくことが重要です。
バイオマス発電は、このようなサイクルで発生する間伐材や端材などを有効活用することで、資源循環利用の一端を担っています。2030年時点において、バイオマス発電所で使用する燃料の受入余力は十分にあることが見込まれており、今後も国内資源を積極的に活用することで森林のCO2吸収能力向上に寄与してまいります。
森林の多面的機能の発揮
出所:政府広報オンライン「木材を使用して、元気な森林を取り戻そう!」
 https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201310/3.html


【早生樹に関する取り組み】
フォレストエナジー株式会社 
「宮崎県都農町での「超早生樹」による地産地消バイオマス燃料製造プロジェクト」
宮崎県都農町が進める『都農町分散型エネルギーマスタープラン』の実現に向けて、地産地消バイオマス燃料となる「超早生樹」(ハコヤナギ(以下、早生樹という))の植林試験を開始しています。
 https://forestenergy.jp/2020/06/26/tsuno-3/

 燃料用早生樹、ハコヤナギを試験植林(日刊木材新聞 2021年8月31日)